地球上にあるものは、すべて、星でできたもので作られていることを知っていましたか? もしも超強力なけんび鏡でまわりの世界を見ることができれば、どんなものでも原子という小さなものでできていることがわかるでしょう。私たちは現在、110以上のちがった種類の原子があること、そして水素は宇宙で一番ありふれた原子だということを知っています。
原子の中には、炭素のように星の内部で作られたものがあります。一方で、例えば金の原子などができるには、より高い温度が必要で、星が死ぬときに超新星(ちょうしんせい)という爆発を起こす場合にできました。原子と原子どうしが結びつくと、その原子たちは分子とよばれます。あなたはもうすでに分子の名前をいくつか知っていますよね。たとえば水分子とか。
天文学者は、現在、APEX(エイペックス)という電波望遠鏡※を使って、宇宙の中で初めて '過酸化水素'という分子を発見しました。この分子は、私たちの銀河にあるガスとチリの雲の中、上の画像の赤い円の中にありました。お医者さんはオキシドール(過酸化水素水)を使って傷口を消毒しますが、この分子は、まったく別のことで私たちに役立ちます。
※ 訳者注: アタカマ・パスファインダー実験機(Atacama Pathfinder EXperiment)。南米チリ、アタカマ高原にある電波望遠鏡。
天文学者は、地球にある水の分子のほとんどは宇宙でつくられたと考えていますが、どのようにしてできたかということは、まだ十分にわかっていません。しかし過酸化水素は水をつくるのとおなじタイプの原子(酸素と水素)でできているので、過酸化水素の発見は、宇宙でどうやって水ができたのかという謎(なぞ)を解くカギとなるかもしれないのです!
知っ得ダネ
地球の南極の気温は、マイナス60℃まで下がることがあります。しかし、過酸化水素が発見されたチリやガスの雲は、めちゃくちゃ冷たいです。なんとマイナス250℃です!
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